やまと尼寺精進日記(卯月)~春がたっぷり松花堂弁当

あっという間に4月下旬。ゴールデンウィークも始まり、あちこちで山菜取りに励む人たちが出没する季節です。

山菜といえば、あの料理・・・奈良の音羽山観音寺の精進料理です。

今回の「やまと尼寺精進日記(卯月)春のハレの日花ざかり」では、春の味覚満載の松花堂弁当が登場。その美しい盛り付けが美味しさを増します。松花堂弁当好きの私はウキウキ~。

お寺の境内では、スイセンやモクレンなど春の花が元気オーラを放っています。山菜のコゴミも小さな芽を出し始めました。ご住職たちの口に入るのも時間の問題・・・。

 

もう少ししたら山菜があちらこちらに姿を現し、お寺の3人は大忙しです。

コゴミ

今回の番組で初めて知ったのが「ニワトコ」です。ニワトリの仲間かと思いきや、スイカズラ科の落葉低木でした。

花期は3~5月で、黄白色の花でかすかな香りがするようです。6~8月には赤い果実が熟します。魔除けに使われたり、利尿薬や入浴剤にも利用されることがあるそうです。

大般若会の準備

毎年春になると開かれるのが、お寺最大の行事「大般若会」(だいはんにゃえ)。観音寺では準備で大忙しでした。

大般若会とは

「大般若会」とは「大般若経」を読み、幸せを祈願する仏教儀式のことです。何人ものお坊さんが集まって行われます。

「大般若経」というのは、西遊記で有名な三蔵法師が訳した経典といわれ、何と600巻もあります。仏教経典の中で最も長いものだそうです。

一日で600巻もの経典を読むことはできません。そこで「転読」といって、教本をパラパラめくってお経の一部だけ読むことにより全部読んだことにするのです。

お坊さんたちが大きな声で転読して、空中でパラパラ経本が広がる様子はなかなか見ごたえがありました。お経は眠くなるというイメージが変わります。

ちなみに「大般若経」のエッセンスを圧縮して、わずか262字にしたものが「般若心経」です。

五段華を生ける

お堂には「五段華」が飾られます。大般若会のときには、ご住職のお花の先生もおいでになり、ご住職と副住職が活けた五段華を総チェック。気合が入ります。

花を生ける竹は、麓の潤子さん宅の竹林からもらってきます。潤子さん宅には何でもあるんですね~。

竹を切って花を生けることができるようにしてもらうのは、里の方にお願います。当日参拝客に撒く紅白の餅作りにも、たくさんの方たちが来ていました。誰もが嫌な顔をするどころか楽しそう~。

5段の花は下から、地・水・火・風・空の五大(万物をつくる五つの要素)を表わしています。

松花堂弁当に春を詰める

大般若会に集まっていただいたお坊さんたちには、松花堂弁当でおもてなしです。もちろん自然界から見つけてきた素材で春の味覚を詰め込みます。

弁当の空間をうまく使って料理を詰めるのがポイントです。ギューギューに詰め込まないこと。見た目も美味しさの一部ですから。季節のものを少しずつです。

定番のゴマ豆腐、タケノコなどの煮物や和え物、桜もち風の桜ご飯。相変わらず盛り付けがきれいです。ご住職のセンスが最高!

慈瞳さんのパン

夜静まりかえった頃、台所で何やらいたずら?をしている副住職の慈瞳さん。パンを作っています。イタリアのパン、フォカッチャです。

ひとつは奈良漬を隠し味に入れたさくら味のもの。もうひとつは酒粕をいれたもの。まさに味の冒険です。ストーブで焼くところが音羽流です。

翌朝のご住職とまっちゃんの反応は・・・まずくはない、というようなコメントだったと思います。次回は山菜入りパンなんかどうでしょうかね。

まとめ

実は毎年わが家にも、お寺(曹洞宗)から「大般若会」の案内をいただきます。私は興味がなく、参加するのはいつも父でした。しかしその意味がわかってくると、少し興味が湧いてくるもので、あの「転読」を見てみたくなりました。

遠く離れた尼寺の行事を見て、近くのお寺の行事を見直す機会を得たような気がします。

また今回も旬の味覚をたっぷりと目でいただきました。特に桜ご飯はチャレンジできそうな気がします。

わが家の八重桜

ちょうどわが家の八重桜が満開なので、桜の塩漬けができるかな。7分咲きが理想ですが、満開でも試してみることにします。
やまと尼寺くいしんぼ日記

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