季節を愛でる和菓子の魅力

あなたはあんこが好きですか?私は好きです。最近は生クリームが苦手なので、和菓子が出せれると嬉しいのです。

先日友人と和食レストランに行きました。二人とも松花堂弁当を選択。楽しく食事をした後、最後に出されたデザート。二人とも季節の和菓子を期待していました。しかし出せされたのはティラミス。

残念ながら二人とも生クリームがダメ。私は単に嫌いなだけですが、友人は乳製品アレルギーだったのです!

よくある店側の勘違い

最近は何かと洋風の食べ物が人気のようです。デザートは練りきりや饅頭よりも、生クリームをたっぷり使ったティラミスの方が、受けが良いだろうと考えてのメニューだったのでしょう。

しかしその考えは、還暦過ぎた女子二人には当てはまらなかったのです。私たちは「和食店」を選んだのです。まんじゅうかティラミスかの選択なら、2人とも迷わずまんじゅうを選んだのに~残念!コーヒーはとても美味しかったです。

最近はどこの和菓子店もいろんな試みをしています。でも個人的には、あまりあれこれ工夫しない方が良いことがあります。というのもなんだか和菓子っぽいけれど、あんこ+生クリームとか、チーズ入りとか、う~ん何でそんなことするんだろう?といいたいものが多くて~。

もちろん新しい試みは良いけれど、それよりもあんこそのものをもっと美味しくする工夫をしてもらった方が、あんこ派としてはありがたいのだけれど。でもあんこ物だけで売り上げ上昇は無理な時代なのかな。

和菓子と季節

和菓子の特徴といえば、やはり日本の四季折々の風景を表現している点です。

ちょっと前まで桜もちが店頭に並んでいたかと思えば、五月の今では柏餅に変わっています。桜の葉の香りから柏の葉の香りに変わりました。このように季節の香りも楽しめるのが和菓子の魅力のひとつです。

 

洋菓子にも季節は反映されています。ベリーの季節には、各種ベリータルト、秋にはアップルパイ、苺の季節にはイチゴケーキなど。ただし家庭で作られる場合です。市販の場合、これらは一年中店頭に売られているような気がします。そこが和菓子とは違います。

和菓子はもっと季節を細かく映し出しています。季節の移り変わりを、少し先取りするように、月ごとに変わっていきます。店先に並ぶ和菓子が、季節の訪れを教えてくれるのです。

春の桜もちや皐月の柏餅。夏には寒天を使った涼し気なお菓子や水ようかん。秋には赤や黄色を使って紅葉を表現。冬には冬の情景を表した和菓子もあります。どれも季節を彩る美しいものばかりです。

和菓子ひとつにこめられた職人の思い

和菓子の場合は、ひとつひとつの小さな和菓子に意味があります。そしてそこに込められた和菓子職人の思いが感じられます。

以前テレビで京都の名和菓子職人のドキュメンタリーを見たことがありました。物静かに語るその匠の姿そのものが和菓子のようでした。

句会で出す和菓子を頼まれた匠。句のお題に沿った和菓子を作ることになりますが、店から出て丸山公園へ行ったり、万葉集をひも解いたりしながら、菓子のイメージを作り上げていきます。

正直和菓子を作るのに、そこまでやるとは思っていなかったので驚きました。プロです!

そして出来上がったのが、なんと十二単の袖口をかたどった和菓子でした。脱帽!

以前、私も小さなお茶会に招かれたことがありました。季節は夏。

最初に和菓子が出されました。紫がかった青いお菓子です。私は「ナスですね、夏らしい~」といったら、亭主役から「それは朝顔です」といわれてしまいました💦。全くね~。

目で味わう

洋菓子と違って乳製品や卵、フルーツをほとんど使わない和菓子。基本は砂糖、豆類、粉類でシンプルです。そのため見た目の質を高め、目でも味わうという工夫がされてきました。

和菓子を前にしたら、すぐにパクついてはいけません。まず先に目で味わうのが良いでしょう。それほど和菓子の表情は美しいからです。その姿を愛でずに口に入れてしまうなんて、もったいないことです。

伝統文化と和菓子

和菓子は日本の文化と深いかかわりを持ちます。特に茶の湯の発達に伴い和菓子も発達しました。京都・金沢・松江は日本でも和菓子で有名なところです。それぞれお茶の文化が栄えた町ですから、和菓子文化も栄えたのです。

お茶席で出される和菓子は、お茶の美味しさを引き立てること、季節を表現するものが良いとされています。その種類は主に二種類あります。ひとつは主菓子(おもがし)で、饅頭や団子などです。もうひとつは干菓子(ひがし)で乾いたもの。せんべいや落雁などです。

また和菓子は伝統行事ともかかわりが深く、日本人の暮らしに欠かせません。正月の花びら餅や雛まつりの菱餅・桜もち、そして端午の節句の柏餅やちまきなど、一年を通してたくさんの和菓子があげられます。

さいごに

洋菓子に攻められつつある和菓子。しかし根強いファンもまだまだいるはずです。また忙しくて季節の移り変わりに気づかずにいた、などという方は、たまにはお茶と和菓子で一服してはいかがでしょうか。

また意外にも和菓子はコーヒーともよく合うのです。私がよくコーヒーに饅頭などの和菓子を来客にお出しすると、「コーヒーと和菓子って合うんですね」といわれます。コーヒー好きの方はコーヒーのお供に和菓子もお試しください。

お茶はもちろん、コーヒーや紅茶と一緒に楽しめる和菓子は、これからはもっと世界でも愛される可能性を秘めているかも知れませんね。

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