やまと尼寺くいしんぼ日記~尼さんの「欲」に思わず微笑む

今週の水曜日、大好きな番組「やまと尼寺精進日記」のスペシャル版「やまと尼寺くいしんぼ日記」(60分)が放送されました。2016年にこの番組がスタートして以来100近くものレシピが紹介されてきました。今回はその中からの抜粋です。

春の山菜、色美しい夏野菜、秋の銀杏、そして冬の鏡餅を使ったレシピと、まさに目でも美味しい料理が満載。

主演はご住職、副住職+お手伝いのまっちゃんのいつもの楽しいトリオ。わいわいがやがやという笑い声を聞いているうちに、美味しい料理の出来上がり!

春の部

桜にはまだ早いけれど、お花見女子会。ちらし寿司、お団子、煮豆にタケノコ料理など数々のご馳走が並びます。慈瞳さん作のきんかんデザートも登場。

料理上手の女子会は最強ですね。本当に華やか。そしてなんといっても野外天ぷらにはびっくり!

お花見宴会場への道中、注目はご住職の行動。ただ歩いてはいませんよ。獲物をさがすがごとく、ご住職の鋭い目は、次々と山菜を見つけて摘んでいきます。

会場に着いたときには、ヤブカンゾウ、フキノトウ、セリなど春の恵みがすっかり揃いました。そして天ぷらがスタート。

野外天ぷらなんて、ひょっとして撮影用のアイディア?かも知れないけれど、あの方たちならやりそうな気もします。それに何といっても、採りたての春の恵みを味わえるなんて最高です!でも野外天ぷらにはやっぱりびっくり。

☆私が一番参考になったレシピがたけのこ団子。いつも捨ててしまう根元の硬い部分。すりおろして山芋や片栗粉を混ぜ、団子にして揚げてしまう。

もう根元を捨てなくていいなんて、本当に嬉しくなります。タケノコがやって来たら、ぜひ作ってみます。

夏の部

初夏の山の新緑は本当にきれいです。お寺のシンボルでもある大イチョウの若葉が目に爽やか。やがて梅雨になると送られてくるのが梅。お寺の梅仕事のスタートです。

水に入れた青梅はまるでグリーンの宝石のよう。たくさんの梅をひとつひとつ丁寧にへた取りをして、梅干しや梅酒にします。

赤じそを塩もみしてぎゅっと絞り梅干しに入れる。さすがです。私なんぞ、スーパーで買ってきた袋入りの赤じそをそのまま入れるだけ💦。

お寺にはウリもたくさんやってきます。それを奈良漬にします。とても手間がかかるのですね。奈良漬ってあんなに時間をかけて作られるのだと始めて知りました。

でも「手間がかかるほどかわいい」とのご住職のお言葉。まるで子育てのようです。頭が下がります。

梅雨が明けると梅の土用干し。ふもとの潤子さんのところからもらってきた竹で七夕飾りを作るのも忘れません。そしてやがて子供の成長を願って行われる地蔵盆が行われます。

地蔵盆ではやってきた子供たちにお菓子の袋をあげます。その袋も手づくりで、はんこうの絵が押されていました。はんこうはまっちゃん作のようです。まっちゃんデザインスクールに通っていたのが判明。どうりで上手いわけです。

夏にはナスやピーマンなどたくさんの野菜が台所に並びます。夏野菜の揚げびたしも美味しそうです。ここでまたひとつ知恵をいただきました。

☆長唐辛子などは、表面に切れ目を入れて揚げるとハネないということです。いただき!

秋の部

観音寺の秋といえば、あの大きなイチョウの木から採れる銀杏。台風の影響などで、その年によって収穫量は違うようです。

拾ってきた銀杏は外側の柔らかい部分を取ります。その後にご住職が二層式の洗濯機に入れて、ガガーと回していたのを見てこれまたびっくり。銀杏が洗濯機の中でぐるぐる回っているなんて~豪快!(笑)。

銀杏は無くても別に困らないけれど、あると料理のクオリティーが上がります。正直、外側のあの臭いには参ります。

しかしご住職たちは、臭いの先にある美味しさを求めてせっせと拾い、皮をむいたり洗ったりの大仕事をこなしていきます。

茶碗蒸しに一個か二個ちょこっと入っているのが銀杏というイメージです。しかしお寺の台所にかかれば、炊いたり揚げたりと、銀杏もしっかり主張をします。

秋は柿や栗も加わり、秋の味覚がぎゅっと詰まった膳ができあがります。

冬の部

大みそかには里の人たちがやってきて、除夜の鐘をついて新年を迎えます。

正月用の鏡餅は、里の人たちが持ってきてくれます。そのたくさんの餅がかびないうちに、工夫して楽しく味わうのが音羽流。お供えされた鏡餅にいろいろな具材を入れてもう一度つき直します。そして出来上がったのが「ねこ餅」。

ピンクに緑、黄色とカラフルな餅です。ひと手間かければ、また別のものが楽しめるというわけです。

元旦にはお寺で里の人たちとお祝いします。用意されたおせち料理の美しいこと!お雑煮は白みそ仕立て。関西ですね。

ご住職の目は知っている

歩きながらも食材を狙っているご住職。山菜や野草に詳しい方です。私たちのような無知な人間に「ぼ~っと歩いてるんじゃね~よ!」なんてことはおっしゃるわけもなく・・(笑)。

ただご住職の目は美味しい物を知っています。だからぼ~としていると見逃すような小さな植物でも、「美味しそう~」なんて近寄っていき摘むのです。

修行を積んだご住職でも、食「欲」はしっかりおありのご様子。そのお陰で生まれる様々な料理レシピ。真剣に山菜を摘んでいるお姿を拝見すると、思わず微笑んでしまいます。

NHK出版さんにお願いです。これまで紹介されたたくさんの尼寺のレシピを集めた料理本を、ぜひ発売してください!
やまと尼寺精進日記 弥生

余談

この番組、見ているといつもほっこりしますが、敢えて懐疑的な意見を述べてみます。

お花見での野外てんぷら。あれって撮影向けの企画ではないかと~。いくらなんでも野外で天ぷらするかな?

新鮮な野草や山菜を食べたいのはわかるけれど、お寺や里の方たちにとっては珍しくないでしょう。ひょっとして撮影スタッフのためのご馳走だったのかもしれませんよ。

絶対にNHKスタッフは美味しい天ぷらやちらし寿司をいただいているに違いありません。羨ましい~!

ドキュメンタリーン部類に入るこの番組。それでもある程度「作られた」部分があるのは仕方がないですよね。

天ぷら宴会も普段はやらないけれど、番組を楽しくするための「ちょっとした」アイディアだったのかも。もちろんご住職はじめ里の皆さんのご理解と協力あってのものですが。

本当は毎週見たい番組です。しかし月一回だけの放送だから貴重だともいえます。観音寺としてもお寺が本業ですから、毎週撮影なんてとても無理ですよね。

いずれにしてもカメラの前の皆さんの笑顔が、まったく演技っぽくないのが良いです。最もあのお三方の本業はお寺ですから、当たり前ですよね。これからもお元気で(病院が遠そうだから)、私たち下界にきれいな空気を届けていただきたいと願っています。

「やまと尼寺くいしんぼ日記~尼さんの「欲」に思わず微笑む」への2件のフィードバック

  1. こんにちは。やまと尼寺の記事、楽しく読ませていただいています。
    番組中の出来ですが、ご本人たちは全く演出していない…と言っておられるようですが、やはり番組の撮影があるから「ああしよう、こうしよう」「あれをやるから撮りにおいで」という風になってくるのでは?と思いますね。(よく聞くと、外で天ぷらするのも、たまにするようなことを潤子さんは言っておられましたが…)
    これをやらせと言うかは難しいですが、普段やらないことをわざわざ撮影でやるようなことはないのだろうと思って見ていました。
    でも、着物でお茶会などは、「最終回だからまっちゃんも綺麗に着飾って…」という演出に見えました。まあ、これはいいかなと^^。
    ムック本にも、「撮影クルーとも仲良くなって…」とありますので、ドキュメントとフィクションの境界はやむおえずあやふやになっていくでしょうね。それでも楽しい番組なのでよしとしています^^。

    1. psize様
      こんにちは!コメントありがとうございます。
      野外天ぷら、ありましたね~。春爛漫のね。
      室内天ぷらさえ面倒に思う自分からしたら、さすがに野外天ぷらは多少の演出感(嫌味の無い)を感じたのは確かです。だってあのご馳走ですもん!
      料理上手の女子が集まればそれもできちゃうのでしょうね。女性は楽しむことが得意なのだとつくづく思います。
      撮影も終わりまたコロナの影響もあり、あの小さな尼寺に少しは静寂が戻ってきたのでしょうか。
      でもTVで一度その魅力を知ってしまったら、訪れたくなるのが人間というもの。まだじわじわ参拝客があの坂を登っているのではないかと思います。
      そういえば今日の18時から再放送がありますね。久々に楽しみたいと思います。

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