オーバーツーリズムの現状~マナー違反に罰金も

以前オーバーツーリズムについての記事を書いたことがあります。観光地に訪問客が増え過ぎて、地元の人たちに大きな影響を与える問題のことです。オーバーツーリズムについて思うこと

4月8日付の読売新聞で「イタリア観光 マナー違反罰金」という見出しが目に付きました。これもオーバーツーリズムに関連する内容で、気になるので読んでみました。

世界遺産の国イタリアの苦悩

イタリアといえば世界で最も世界遺産の多い国です。今までも世界中からたくさんの観光客が訪れています。そして今でももちろん・・・。ただその数が尋常ではないのです。受け入れ側の許容範囲をはるかに超えた観光客が訪れているため、地元住民の生活が妨げられています。

ローマにフィレンツェ、ベネチアと有名観光地が次々と思い浮かびます。そういった旅行客に人気の都市でも、そこで日常生活を送っている住民たちがいます。あふれかえる観光客がもたらすのがお金だけなら、誰も文句は言わないでしょう。しかしゴミやトイレ問題、交通渋滞、騒音問題、環境汚染と問題が山積みとなっているのが現状です。

観光客は経済を潤してくれますが、環境悪化の原因にもなっているのです。

マナー違反に罰金条例

観光客の急増で困惑する地元ですが、ただ見ているわけにはいきません。住民たちの生活が観光客によってどんどん蝕まれるだけですから。

そこでローマやフィレンツェなどの主要都市では、マナー違反に対して罰金を科す条例を施行することになりました。例えば路上での飲食です。

フィレンツェでは、イタリア版サンドイッチのパニーニなどを路上で食べるのを禁止。地元の人によれば、路上に座って食事をする人がいて、通行の邪魔になっています。

何だかコンビニ前で地べた座りしている若者を思い出してしまいましたが💦。あの子たちが大勢集まって、観光地の路上で座って飲食している光景を想像したら・・・罰金を取りたくもなりますね。

ちなみにフィレンツェでは昼と夜の特定の時間帯に路上で飲食すると、罰金として最大500ユーロ(約6万円)が科されることになります。

ローマ市では午後10時以降の路上での飲酒や集団でのはしご酒に対し、罰金を科すことに決定。というのも何とあの「トレビの泉」で全裸で泳いだり、「スペイン広場」の噴水を破壊した観光客など、トラブルが相次いだからです。

ここまで来ると観光地破壊とでも言いたくなります。その観光地の魅力さえも消えてしまいます。

水の都ベネチア。ここも以前から観光客の増加で問題を抱えています。通勤の足ともいえる水上バスに、住民が乗れなかったり、クルーズ船の増加による水質悪化などが発生。

これに対してベネチア市長は、昨年9月、指定外に座った人に対して、最大500ユーロの罰金を科すという提案をしました。もちろん観光客を念頭に置いたものです。

観光客に人気のイタリア。2018年の国連世界観光機関の調査によれば、外国人訪問客が多い国・地域ランキングでは世界5位(5800万人)でした。それだけ観光収入に頼っている部分があるのは確かです。しかし訪問者の急増による様々な弊害を考えると、マナー違反に対する罰金も「仕方がない」ことだと言えます。

有名観光地にはもう行けないのか?

人であふれる有名観光地の写真を見ると、訪れる気力がすっかり失せます。私のような人混み嫌いは、これからはもう人気観光地を訪れることはできなくなるのでしょうか。そういえばまだローマにも行っていなかった~しばらく様子見かな。

楽しい「観光」に厳しい「罰金」とは皮肉なことです。でも現状を考えたらやむを得ないこと。どの程度の効果が現れるかを見守ることにします。

非日常の解放感ですっかり舞い上がってしまう観光客もいます。うっかりした行動で6万円も罰金を取られてしまっては大変!自分は非日常でも、そこには日常を過ごしている人たちがいることを忘れてはいけませんね。

上から押し付けられるのは嫌いだけれど、人間ある程度押し付けられて規制をかけられないとダメな面もあるものです。シンガポールのように厳しい罰金制度が、街の美しさを保つためには効果があるという例もありますしね。

良い旅を!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です