気温はまだ高いですが、風秋を感じ始めました。旅行好きの方なら秋の旅へとウキウキしてくる頃ではないでしょうか、いつもなら。でも今年はコロナのせいで、近間はともかく、海越えはね~😢。
今日は旅行、特に老親の海外旅行のことについてのお話です。そしてそれに対する子供たちの対応について考えてみました。
人生一度きり
旅好きならば、やはり旅に出ると元気になるものです。それは年老いた人でも同じこと。ただ年齢が増せば増すほど、海外旅行などはハードルが高くなりますよね。ドクター付きでファーストクラスの旅行ができるリッチな人は別ですが・・・。
ということで昨年5月、旅好きな95才の父を台湾に連れ出しました。姉と私と3人旅です。父と旅行するときはたいてい3月でしたし、この時も3月に計画していました。しかし出発前日に父が熱を出して点滴を受けることに・・・。親子ともどもすごく残念でしたが、オールキャンセル!
こんなことは初めてでした。それまで計画通りに出発できていたのが運が良かっただけかも知れません。何といっても老人は壊れものですから。
でもひとは人生の最終章に来ていても、人生を楽しむ権利は十分にあるはず。一度きりの人生だから「年だから海外旅行は無理」だなんて、そう簡単には言いたくはありません。
老親の海外旅行
わが家の場合は、娘たちが老親を’けしかけて’海外に引っ張り出してきたようなものです(笑)。娘たち自身が旅行に行きたいから。また親の付き添いという大義名分が成り立つというのもあったりしまして・・・。
ただし私たち親子のような乱暴なケースはあまり多くないように思います、少なくとも私の周囲ではね。
自分も一緒に行けるならまだいいのでしょうけれど、自分の目で老親を監視できるから。問題は親だけが海外旅行に出かけるときでしょう。
心配と子供のエゴ
老いてもまだ歩けるうちは近くの外国なら行ってみようかと思う高齢者もおいでかと思います。実際、父の茶飲み友だちだった近所のおじさんも、旅行のパンフレットを見てシンガポールに行ってみたくなったそうです。
ところが親戚の人に「行っても面白くないよ」てなことを言われ、諦めてしまったのだとか。意志の弱いおじさんではありました😢。
まったく余計な事を言う人がいるものです。自分の基準で他人の旅行先の批評までしてしまうんだからね。
その同じおじさんですが、うちの父と台湾ツアーに参加しようという話をしていました。がしか~しこれまた家族の反対でギブアップ!家族によれば、おじさんの足の具合が悪いので参加はさせたくないとのことでした。二連発で海外旅行縁が消えてしまったというわけです。
そしてその数年後、そのおじさんは80代後半で天国という遠~い国へ旅立って行きました😢。
年を取ると健康への不安が大きいのは当然です。でもそのおじさんも「たぶん大丈夫、行けたら行ってみたい」なんて思っていたのではないかな?
子供が抱く様々な心配が、親の旅心にブロックをかけてくることがよくあります。そして決して健康に自信があるわけではない老親を不安に陥れ、けっきょく親はやりたいことを諦めてしまう・・・。
確かに老親を海外に送り出すのは少し勇気がいることではあります。持病を持っている人がほとんどでしょうしね。
クスリを飲み忘れたりしないだろうか。血圧が上がったりしたら困る。倒れたらどうするの?「助けに行けないんだから」などなど子供たちの心配はきりがありません。
でもこの心配という名のエゴが曲者かも知れません。親が温めてきた夢をブロックしてしまう可能性があるからです。もちろん親には無茶をしてもらいたくはありませんしね、何しろ年なんだから。
子供の覚悟
老親の海外旅行~といってもまさかバックパッカーとして旅するわけではないでしょう、スーパー老人以外は(笑)。
ほとんどが添乗員付きのツアーでの旅となるはずですから、「何かあったら」必ず連絡が来ますし、現地では何らかの対処がなされているはずです。日本人ツアーの添乗委員のほとんどは、気の毒になるほど?親切ですから・・・💦。
わが家の親子旅のように「人間どこにいても死ぬときは死ぬ」とある種の開き直りで飛び立つというのもありです。そうでなければ、四捨五入100才の老人を海外に連れ出すなんて度胸はなかなか出ては来ません。
親と一緒に過ごせる時間はかなり限られています。有事が迫りつつある中で、老親にどんな時間を過ごしてもらうか、というよりも老親自身がどう生きたいのか・・・タイムリミットは迫っています。
さいごに
チェコのプラハでお会いした日本人ご夫妻。オランダのアムステルダム経由で欧州に入り、二か月ほどの二人旅を楽しんでいる真っ最中でした。「私はあまり来たくなかったんだけど~」なんてわりとクールな奥様。それに対して人懐こい旦那様は「ビールとソーセージはうまいし、プラハは最高だね~」とご機嫌でした。
最初は旧市街でお二人に会い、その後私が駅を見に行ったときに再会。こちらは全く気付かなかったのですが、気さくなご主人が声をかけてくださいました。電車でウィーンに出発するのだというお二人としばらくおしゃべり。
定年退職を機にこの海外旅行を計画したのだとか。ご多分にもれず、娘さんたちには反対されたそうです。ご主人が血圧が高いとかなんとか言っておられましたから、心配されたんでしょうね。
でもお二人は決行。私が感じた限りでは、すごく楽しんでおられました。特に人懐こいご主人はどこに行っても現地の人たちと楽しくやれそうだから、奥様も安心だと思いました。
「老いては子に従わない」というのもありですね。もちろん「無事帰国」が最高のお土産になるのは言うまでもありません。