老人はやっぱり壊れものだった~台湾旅行直前キャンセル

先月上旬、父と娘二人でまた台湾旅行をする予定でした。しかし出発二日前になって、父が風邪で体調を崩してしまい、旅行はキャンセル。95才を連れて出かけるという覚悟はあったものの、直前キャンセルに一同不完全燃焼~。今もなお心がくすぶっております!

95才を連れての海外旅行計画

去年の3月に「これが最後」と称して父娘3人で台湾へ。この時の様子は老人と行く海外旅行~目標は生きて帰国でご紹介。あの時は「生きて帰国」を果たして完了!

毎回「これが最後」という私たちに、「また最後だって!」と笑うまわりの人たち。それはそうだよね~。でも去年も本気で「これが最後」だと思っていた娘たち。それが何とか生きて帰国してから早一年。冬を乗り切るための飴をぶら下げるがごとく、弥生の台湾ツアーを計画してしまったのです。

「お父さん、まだまだいけるよ!」なんて無責任に周りは持ち上げたりしますから、本人もその気に・・・💦。一方実の娘は、棺桶に入っての帰国もありうると、毎回心のどこかで覚悟して出発。いままで無事帰国できたのは、ただ運が良かったからだと感謝するばかりです。

とにかく年が年だから、海外へ「連れて行く方が間違っている」といわれれば、返す言葉もありません💦。でもね・・・行きたいんです、本人も娘たちも。

行けると信じていた三日前

出発三日目に、宅急便で空港に荷物を送ることにしました。荷物とはいっても、小さなスーツケースに父と私の二人分を入れただけ。本当は当日持って行っても良かったのですが、杖をついた老人を抱えていることもあり、できるだけ身軽で移動したかったのです。

老人連れの場合は、付き添う人も荷物はできる限り少なくが基本ですね。移動中に何が起こるかわかりません。

父は早々に自分の着替えを風呂敷に包み、私に渡してきました。こちらは予定通り宅急便で空港に荷物を送り、後は出発するだけでした。本人も娘たちも、今年も台湾で暖めてもらおうとウキウキ気分。とここまでは順調。

老人の風邪は手ごわかった

出発二日前の朝、父の様子がいまひとつ。風邪をひいてしまったらしく、熱も少しあります。

でもまだ本人も私たちも、旅行には行くつもりでいました。「ただの風邪」だと思っていたからです。本人も旅行に行きたいこともあり、その日は大人しく寝ていました。

翌日(出発一日前)、父の具合は進展せず。姉夫婦に医者に行けと強引に勧められ、かかりつけのクリニックへ。即点滴を受けることに。

点滴を終え、看護婦さんに「明日の朝また点滴に来てください」といわれた瞬間、私の頭の中に「キャンセル」ということばが浮かびました。「明日の朝」とは出発の日だったからです。

いくら何でも点滴した95才の老人を、海外へ連れ出すわけにはいきません。いくら近い台湾とはいえ、やはり酷です。清く諦めた私は、帰宅早々に飛行機もホテルもすべてキャンセル。

キャンセル作業完了を姉に報告すると、「キャンセルするの早すぎ!」といわれてびっくり。何と彼女は父を夫に預けて、私と二人で台湾へ行くという、とんでもない選択肢を考えていたのでした。冗談かと思いましたが、半分は本気だった模様。姉の図太さにびっくりした妹でありました。

ということで台湾旅行中のはずが、毎日点滴通いの日々。老人の「ただの風邪」は手ごわいものだと知らされました。

パスポートの期限切れ、それとも人生の期限切れ、どちらが先か?

6年前に倒れたとき、せいぜい持っても一週間の命だと医師に告げられた父。あれから6年プレゼントされました。

旅行は「行けるときに行ったほうが良い」とよくいわれます。私はそれに「行きたい気持ちがあるとき」を加えます。いくら時間とお金、健康があっても、「行きたい」とは思わない、それどころか「行きたくない!」とまで思う場合、旅行など成立しないからです。

「行きたい」という気持ちが強い場合、足を引きずってでも(友人)、帯状疱疹連れてでも(バカな私)飛んでしまうものです。

ただし老人はダメ。いや、老人ではなくても、体調不具合ならば、本来は安静にしているべきです。でもね、気持ちが言うことを聞かず、痛みなどを無視して飛んでしまうんですよ。困ったものです。

わが家の場合は、親子共に旅行が好きですが、そう頻繁に行けるわけでもなく。だからこそたま~に行く海外旅行は、それは楽しみにしてきました。旅先もご縁。実際にそこへ行くことができたのも、その土地とご縁があったからです。

そう考えると、老いた父も95歳まで旅行ができたことは“ラッキー”のひとことです。彼のパスポートの有効期限も来年早々に切れます。それを考慮に入れ、父親にとっては「これぞ最後の海外旅行」計画でした。

パスポートの期限切れが先か、老父の人生の期限切れが先か~きわどい勝負のようにも思える今日この頃です💦。

老人は壊れもの

頭では分かっていても気持ちがわかっていない、というのがわが家の父と娘たち。しかし親子共に年齢が上がった今でも、父と娘という関係は変わらず。変わったのはお互いの体力💦。こればかりはどうしようもない事実です。

旅行は人生における義務、なんてことは決してありません。でも行きたい気持ちがあって、行ける状態ならば、ぜひ旅行に出かけたいもの。

でももしあなたが老いた親と旅行に行くとしたら、特に環境が変る海外旅行では、老人という「壊れもの」を連れていることをお忘れなく。

どうぞ良い旅を!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です