今回もオーバーツーリズム関連の記事です。読売新聞のえいご工房（6月30日付）の注目ニュースで、「Plastic bags found in deer’s stomachs」という見出しが目に留まりました。シカの胃袋の中にビニール袋が見つかる？シカがビニール袋を食べたってこと？
オーバーツーリズムの影響が奈良公園のシカにまで押し寄せているようです。シカたちの行く末が気になります。
オーバーツーリズムについて思うこと
原因
ビニールがシカたちの胃袋で発見されるとは、いったいどういうことなのでしょうか。死んだシカの胃袋から、実際にレジ袋や菓子の袋などの塊が見つかったそうですよ。その重さが4.3キロというから驚きです。
以前から奈良公園にはたくさんのシカがたむろしていました。しかしビニール袋を食べるシカはめったにいなかったはずです。ところが訪日観光客の増加に伴い、シカへの被害も増えてきたのです。同様にシカによる人間への被害も・・・。
シカの胃袋とビニール袋の関係。これは観光客が持ってきたもの以外考えられないでしょう。最近はごみのポイ捨てがずいぶん増えたそうです。そのゴミの中に食べ物が残っていたり、食べ物のにおいがしたりする袋があれば、当然のごとくシカたちは寄ってきてそれらを口にすることになります。
シカは食べ物を目がけてくる
もう25年以上前ですが、私も両親と3人で奈良に行ったことがあります。東大寺に行こうと歩いていると、シカがあちこちにいました。あの時たまたま焼き芋を買って手に持っていた母のところに、すかさずやって来たシカがいました。匂いを嗅ぎつけたのです。しつこく母の後をついてきました。
あの時はどうやってシカから逃れたかは忘れましたが、ちょっとした食べ物でも手に持っていると、シカたちが近寄ってくることを知りました。鼻が良いんですね。
決して食べ物を見せたりしないように気を付けなければなりません。シカってけっこうしつこいよ～（笑）。
食べ物を持っていないことを示すときには、掌を見せると良いそうですからお試しください。
奈良公園ではシカ煎餅が売られていますが、安心してシカに食べさせることができる餌です。ただし「正しいあげ方」を知らないと、シカにとっても人間にとっても良いことはありません。要注意です。
シカ煎餅の正しいやり方はこちらを参考に→わくわく奈良ガイド
観光客誘致に望むこと
訪日観光客の誘致に懸命になっていた頃には、予想もできなかったであろうこの事態。いや、本当は想定内であっても不思議はありません。十分考えられることですからね。
もちろん観光収入は歓迎すべきものです。ただし観光として成り立つのは、そこが「魅力ある場所」であり続けなければなりません。それが崩れては観光収入もストップしてしまうでしょう。
奈良のシンボルともいえるシカ。国の天然記念物としても指定されている「野生動物」です。それを知らない海外からの観光客が、ペットのように近づこうとすることで怪我をするケースが増えているとか。
出産直後のメスや発情期のオスは神経が過敏になっており、気が荒いので注意が必要です。実際に奈良公園で観光客がシカに襲われている場面を、テレビで見たことがあります。危険ですよね。
奈良では長い歴史の中で人とシカが共存してきました。このことが人間界の事情によって、シカへの被害が及ぶことになるとは・・・。人とシカとの共存が危うくなってきたのでしょうか。
ちょっと前まで日本各地で、町おこし・村おこしを兼ねて訪日客の誘致に懸命でした。今もそうかもしれません。でも状況はどうなのでしょうか。
少なくとも日本一有名な観光地である京都・奈良では、このままだと地元の動物もそして人も、うかうか眠ることさえできなくなる可能性もでてきます。
観光客誘致の際は、その場所の魅力を伝えるだけではなく、「観光のマナー」もしっかり伝えていく必要が高まっているようです。そうしなければ、一時の観光収入増加のあとは、観光地としての魅力をすっかり失うことになります。もちろん観光収入は下降します。
最後に
ちょうどこのブログを書いている時に、一枚の絵葉書が届きました。京都在住の友人からです。
「京都の人の多さは表現できないくらいです」と最後にありました。けっして大袈裟なことを言う人ではないのですが、この一文に、最近の京都の観光客の多さが伝わってくるようです。オーバーツーリズム～京都が京都でなくなる？
京都に行けば、その足で必ず訪れるのが奈良でしょう。典型的な訪日観光客のコースです。そして奈良といえば東大寺のある奈良公園。シカとご対面です！
オーバーツーリズムの問題が、奈良のシカたちにものしかかっているかと思うと、とても悲しくなります。このあたりで奈良県はもちろん、国をあげて観光被害を防ぐ努力をするべきときが来ているのは間違いありません。
オーバーツーリズムの現状～マナー違反に罰金も
あ～のんびり奈良の町を歩きたいな。