あまりテレビは見ないのですが、お気に入りの番組が二つだけあります。ひとつはこのブログでもよく書く「やまと尼寺精進日記」(NHKEテレ)、そしてもうひとつが、ずっと気になっていた番組「小さな村の物語イタリア」(BS日テレ)です。
昨日は仕事が早く終わったので、「小さな村の物語イタリア」を初めてじっくりと見ることができました。BS日テレで毎週土曜日18:00~18:54。
この番組はもう何年も前から放送しているのは知っていましたが、なかなかゆっくり見る機会が無かったのです。でもやっぱり好きです、この番組。
10年以上も続いている番組
改めて調べてみると、何とこの番組はもう10年以上も続いていることが判明。2007年に第一回目がスタートし、2019年の4月には300回記念の二時間スペシャルがあったようです。見なかったのが残念!
これだけ続いているということは、けっこう人気があるという証拠です。民放ですから視聴率が悪いと、すぐに削除されてしまいますからね。
どんな番組?
舞台はもちろんイタリア。しかし観光でおなじみのローマやフィレンツェ、ミラノなどとは全く違う、時間がゆっくりと流れる静かな村。もちろん人口はごくわずか。
番組では毎回イタリアのひとつの小さな村を取り上げます。そしてそこに暮らす人たちの日常を紹介。いつも二人くらいの人に焦点を当てて物語は進みます。ただこの人たち、カメラ目線はほぼゼロ。「そのままの姿」をカメラは追っていきます。
ナビゲーターは俳優の三上博史。イタリアをこよなく愛するという彼の落ち着いた語りが、内容としっくり合います。
その魅力とは
この番組の魅力は、その土地で生まれ育ち、そこに根を張って生きる人を主人公にしているところです。田舎暮らしに憧れて都会から移住してきた人の話ではありません。
田舎へ移住しても、不便さと慣れない人間関係などに耐えられず、都会に戻ることが多いというのが、日本ではよくある話。
しかしこの番組に登場する村人たちは、その土地の空気をずっと吸いながら暮らしてきた人たちです。伝統や文化を誇りに思い守り続けて生きています。
イタリアですが、ファッショナブルな華やかな雰囲気は全くありません。ただあるのは村での毎日の生活。働く、料理する、食べる、祈るという人間生活です。
幸せのある場所
昨日見たのは、サン・ジュリアーノ・デル・サンニオというローマの東にある小さな村の物語でした。食料品店を営むマルガリータと牛飼いのセベリーナという二人の女性の日常を紹介。彼女たちの姿を通して、幸せとは何かを考えさせてくれます。
マルガリータは店を営みながら、10人ほどの身内のために昼食を作ります。「しあわせのすべてが食卓にある」がごとく、毎日毎日一生懸命作ります。また牛飼いのセベリーナは自分の仕事を愛し、家族のためにずっと働き続けてきました。二人とも本当によく働きます。
セベリーナだったでしょうか?これまで村を出たのは一度だけだといっていました。だからといって不満があるわけではないのです。彼女は自分の生き方に後悔はありません。自家製チーズに石窯で焼いたピザだなんて、何というぜいたくな食卓でしょう。
見ていたら久々にピザを焼いてみたくなりました。
このように、日常の暮らしを一生懸命に生きることが、幸せの秘訣だと教えてくれるのがこの番組です。
風景と音楽
私にとってこの番組のもう一つの魅力は音楽です。フランスのシャンソンよりも、イタリアのカンツォーネの方が、体中の血の巡りが断然良くなる私。イタリア音楽大好き!
番組のテーマ曲「L’appuntamento ラ・プンタメント」(逢いびき)が聞こえてくると、血が騒ぎ始めます。これを歌うOrnella Vanoniオルネラ・ヴァノーニの声がせつなく心に響きます。この曲は彼女の最大ヒット曲(1970年)。大人の女性感あふれる彼女の歌声~もうたまりません。
イタリアの小さな村の風景とこのテーマ曲が溶け合って、村の人たちの暮らしをドラマチックに仕上げていきます。日常の暮らしこそが本物のドラマなのだと教えてくれます。
さいごに
イタリアの小さな村に住む人たち。その誰もが悲喜こもごもの人生を生きています。それを田舎礼賛としてではなく、そこにしっかり根を張り生きている人の日常の姿、そしてその人としての歴史を物語るというこの番組。これからも見続けます。
BS日テレ小さな村の物語イタリア
追記 2023年5月29日
この番組は今も続いています。以前取材した人たちのその後の様子が見れられるようになりました。取材が続いているのですね。
8年とか9年とか前に取材した人たちの現在。すでに家族が天国に旅立ったりしていることが多く、また新しい家族が増えたり・・・。時の移り変わりを感じます。
この番組を見ていて思うのは、人はどこにいても出会いと別れがつきものなのだということ。長く続いてほしい番組です。