治安が良くて安全?そんな国はないと思っておこう!

3月15日(金)のニュージーランド南島クライストチャーチで起きたモスク襲撃事件。死者が50人にものぼり、この国最悪の事件になりました。

金曜日はイスラム教徒の集団礼拝の日に当たります。犯人はそこを狙ったのでしょう。イスラムの教えでは金曜日は最良の日といわれていますが、亡くなった方たちにとっては最悪の日になってしまいました。本当にことばもありません。

そして日本ではニュージーランドといえば「治安が良くて安全」だと信じて疑わない人が多いのも事実。でもそんなはずないんだけれど~

治安が良くて安全な国?

今回の事件で必ず言われるのが、「治安が良くて安全な国」ニュージーランドでこんなことが起きるとは~ということば。でもみんな本当に「治安が良くて安全な国」が存在すると信じているのだろうか・・・。

もちろん旅行や留学先を選ぶときには、「治安が悪くて危険な」国をわざわざ選ぶ人はいません。できれば安心できる国が良いのはいうまでもないことですね。でもだからといって絶対に安全な国なんてどこにもない。

今回のクライストチャーチの事件で、多くの日本人たちが「まさかあのニュージーランドであんなことが起きるなんて思ってもいなかった」といっています。これは「ニュージーランドなら絶対安全だ」という思い込みから出てくる言葉ではないでしょうか。

実際にその地で少しでも暮らしてみると、「あのニュージーランド」でも毎日様々な大小の事件が起きていることを知るはず。私がいた25年前でも、酷い青少年犯罪や親子心中のニュースが報じられていました。ニュージーランドでも親子心中があるのかと驚いたものです。

人間社会というものは、実に複雑で時には惨い出来事が起きてしまうものです。

無知が生み出す偏見

今回はイスラム教徒をターゲットにした事件です。テロといえば即イスラム教徒と結び付ける傾向が多い日本社会。でも襲撃されたのは静かにお祈りをしていたイスラム教徒なんです。

世界の宗教の中でも、教徒の服装やお祈りの回数の多さ(一日5回とか)など、他の宗教に比べてかなり特徴的なのがイスラム教です。そのためかとかく異質な目で見られてしまいます。

日本では、イスラム圏からの交換留学生のホームステイ先を探すのも一苦労と聞きます。実際は欧米系の主張の強い生徒たちよりも、アジアのイスラム圏からの生徒たちの方が、日本の家庭ではうまくいくことが多いのですが。

イスラム過激派と一般のイスラム教徒とは全く別です。確かにムスリムの慣習は一種独特とも言えますが、それぞれ意味があるはずです。私たちがもっとイスラムについて知識があれば、妙な誤解や偏見は減るでしょう。偏見は無知から生まれるものだからです。

茶道の世界を例にとると、なぜ茶碗を回してから飲むのか?なぜ茶室に入る躙り口はあんなに低く作られているのか?などなど。どれも意味があるわけですが、全く無知の場合には、ただ面倒くさい変な行い、または変なものとしか思えないのです。しかし意味が分かれば、変だとは感じなくなるのです。

何かに対して「変なの」なんて思うときは、ちょっと調べてみると、「ふ~ん、そうだったんだ」なんて思えることがけっこうありますよね。知らなかったことが少しずつ理解でき、新たな発見につながるのです。

「比較的」治安が良くて安全な国程度に考えておこう

今回のような事件が起きると、「あ~日本で良かった」などという人がよくいます。しかしたまたま日本にいる自分が無事だっただけで、「日本だから安全だ」などと言いきることはできません。そう言えるのなら、日本人としてはどんなに嬉しいことでしょう。でも残念ながら、現実には毎日どこかで事件が起こっています。

イメージでその国が安全そうに見えても、完璧な国などないわけです。いくら「安全な国」だと言われてもそれを鵜呑みにせず、「比較的」治安が良くて安全な国程度に考えておくのが良いのではないでしょうか。安全だと信じすぎるのは大いに危険だから。

ニュージーランドにしても日本にしても、世界的に見れば「比較的」治安が良くて安全な国ということになるのでしょうね。

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