今月のやまと尼寺精進日記は「霜月・あれこれ漬けて冬支度」。里で育った野菜を塩や味噌で漬けて冬に備えます。
日本の食卓には漬け物というものがあったことを、改めて思い出させてもらいました。
お寺の銀杏、里から集まるショウガにハヤトウリ、柿、といつものように「地産地消」の先端をいく尼寺。にぎやかな台所で次々と料理が出来上がります。
収穫祭
今回は尼寺と同じ境内にある九十余社神社で行われた収穫祭の風景を見ることができました。里の人たちが伝統的な装束を身につけて、その年の豊作に感謝します。
神社で行われるものですが、観音寺のご住職も参列されていました。日本固有の神仏習合ですが、違う宗教でもいがみ合うことなく、お互いに尊重し合えるのが良いですね。
この九十余社神社は観音寺のすぐ隣にあります。でも調べてみたら、お寺の住所が南音羽832、神社が南音羽833ということが判明。
どちらも独立したお寺と神社ということで、番地も別々なんですね。見る側にとっては、両方同じ敷地内でひとくくりにしてしまいそうですが。
尼寺の銀杏も今年は豊作のようですし、総じて西日本は作物の出来が良かったのかも知れませんね。
一方今年の東日本は台風被害も大きく、農作物の収穫に関しては「来年こそ豊作を!」と願わずにはいられません。
漬け物
尼寺では冬を前に保存食を作ります。漬け物です。
漬け物は日本の食卓には欠かせないもの。しかし今ではだんだん食べる人が少なくなっているのではないでしょうか。特に若い人たちは漬け物の存在を忘れているようにも思えます。
かくいう私も以前は漬け物が苦手でした。最近は「ご飯に漬け物」というパターンもだんだんと楽しめるようになりました。たま~に浅漬けなども作るようになりましたしね。
尼寺の台所では、忘れられつつある伝統的な日本の食べ物がしっかり作られているのが良いですね。
私でも作ることができる浅漬けなどは簡単だけれど、奈良漬けなどはとても手間がかかります。尼寺では数年かけてようやく奈良漬けが完成するようです。
漬け物ってぱっと見はシンプルです。しかし本格的な漬け物は、できるまでの過程は決してシンプルとはいかないようです。それだけにしっかり噛みしめていただきたいものです。
漬け物のある暮らしって、本当はとても贅沢なのかもしれません。そんなことに気づかせてくれる尼寺の台所でした。
ところでお寺では、漬け物の他に「甘柿の」干し柿を作っていましたが、これは珍しいものです。干し柿は渋柿から作るのが一般的ですから。
食べきれないときには乾燥させて保存食にする、というのがご住職の知恵なのでしょう。
あの坂道
先日上ったあの坂道。ご住職とまっちゃんが、里でもらった作物を入れた籠を背負って上っていました。あれが尼寺の普通の暮らしなのだと再認識。
葉付きのショウガを背負ったまっちゃん。クジャクの真似には笑えました。ああして楽しみながら上れるようになるには、やはり回数かな。こちらそんな余裕はゼロでした💦。
最後に
つい最近自分でも実際に見た尼寺の光景が、番組でそのまま映されていてちょっと不思議な気がしました。
今回も尼寺の料理に刺激され、早速自宅の菜園で取れた大根とニンジンで浅漬けにしてみました。ゆずも少し加えてみました。まあ、簡単なサラダ感覚のものですけれどね。
日本に昔からあった「漬け物のある暮らし」というものを、これからも大切にしたいと思うになりました。
ただし奈良漬けは好きなんだけれど、漬けるの大変そうで・・・。面倒くさがっていては美味しいものは食べられないってことですかね(笑)。