やまと尼寺精進日記「皐月」~日常の中の非日常

皐月だけあって、音羽山は緑にあふれていました。タイトルが「皐月 竹青々と端午の節句」ということで、お寺の3人の方たちも童心に戻り、子供たちと一緒に懐かしい遊びを楽しんでいました。

ご住職たちの知恵と工夫、そして子供たちの協力で作られたのが今回の放送です。お寺の3人の方たちにとっては、「日常の中のちょっとした非日常」ということかな。木々の青さが目に爽やかです。

護摩祈祷の日

ふだんは作務衣を着ているご住職と副住職。この日は黄色い衣姿で登場。厳かな雰囲気が漂ってきます。月に一度の護摩祈祷の日でした。

護摩とは物を焼くこと。護摩祈祷とは火を焚いて祈る儀式です。無病息災や家内安全など、いろんな願い事をします。人間って仏様や神様に「お願い」が多い生き物ですね(笑)。

旬の野菜を求めて

珍しくお寺の3人お揃いで下界へ。作務衣を作ってくださる畳屋さんの奥さんのところです。

ついでに畑で旬の野菜をいただくことに。アスパラガスやエンドウをいただいて帰ります。

出かけるときはいつもハサミ持参というご住職。常に何か収穫物はないかとあちこちを物色?慈瞳さんにいたっては、作務衣のポケットや袖の中までエンドウを入れていたり・・・。お二人とも頂けるものはガッツリいただくというわけです。素直です。

そういえば昔からわが家では、畑で最初に収穫した野菜をすぐ隣のお寺に持って行くのが習わしです。仏様にお供えするという意味があるのでしょう。またお寺への物納は、収穫物を共有するという意味もあるそうです。

青竹で楽しむ

準レギュラー?の潤子さんが青竹を持ってきてくれました。その青竹に餡を流して、竹の水ようかんを作ります。エンドウ豆の餡とこし餡の二種類です。

そういえば竹筒入りの水ようかんがありますよね。けっこう高級なイメージがありますが、尼寺ではもちろん手作りします。

また竹といえば水鉄砲。ご住職が子供のころには竹を取るところから始め、水鉄砲を作ったのだとか。副住職の慈瞳さんは、「むぎこめ」というこれまた竹を使った素朴な遊びを紹介。

やってきた子供たちも、「ムズイ」なんて言いながらも、これらのレトロな遊びを大いに楽しんでいた様子。楽しいものは楽しい。時代は関係ないということです。

このあたりは、尼寺の日常というよりも、「端午の節句スペシャル」といったところ。子供たちと楽しむために、ご住職たちの知恵と工夫が生かされた部分でした。

端午の節句

端午の節句にもいろんな風習があるものです。この番組では、私が知らなかったことがいろいろ登場します。発見の多い番組です。

ちまき作り

端午の節句には子供の成長を祈り、ちまきを作る風習があります。尼寺でもちまきを作ります。ひとつは定番の笹で包んだちまき団子。もうひとつは竹の皮で包んだ中華風ちまきです。

何といっても中華風ちまきを包んだ竹の皮の「歴史」がすごい!というのはこの竹の皮、ご住職が10年も前に拾って大事にとっておいたものだからです。びっくり!

最近の断捨離傾向とは相反するかも知れないけれど、何かを大事に保存しておくというご住職を見ていると、何故かほっとします。

私自身は捨てるのが好きな方ですが、捨てなくても良いんだ~なんて思いませんか?ご住職の場合は、物への執着ではなくて「愛情」ですね。

ところでちまきを作りながら皆さんが歌っていた「背くらべ」。意外だったのは「ちまき食べ食べ兄さんが~」の部分を慈瞳さんが知らなかったこと。ヴァイオリンまで弾ける慈瞳さんなのにね。童謡は別ということかな。

ちなみに10年物の竹の皮で包まれた中華風ちまきの中身は、銀杏と栗入りでした。銀杏はもちろんお寺で採れた実のはず。大きな銀杏の木ですが、今年は台風にやられないといいな~。

ショウブとヨモギ

「菖蒲湯」は知っていました。しかしショウブとヨモギを束ねて廂の上に乗せ、邪気を払うという習わしは初めて知りました。

庭のあちこちに生えてくるヨモギ。柔らかいうちは天ぷらにしますが、大きく育つと邪魔なので抜いてしまいます。でもこんな使い方があったなんて~。

さいごに

この番組は尼寺の生活を紹介しているドキュメンタリー。しかし今回のように「日常の中の非日常」を創り出し、視聴者に楽しさを届けるということも必要とされます。

この番組を見ている人は、「素朴」とか「温かい」、「癒し」といったものを求めている人が多いのではないでしょうか。

私自身は植物が好きなので、木々に囲まれた尼寺の雰囲気が楽しめるこの番組が好きです。ナレーションの柄本佑さんの声と明るい音楽も心地良くて~。

ただ「癒し」という部分は、あまり求めてはいないのです。ご住職たちは癒しどころか、けっこう忙しくなったことでしょう。番組作りのために、NHKからのいろんな要望が加わるに違いありません。

それでも小さな山寺が全国に知られることになったのですから、喜ばしいことではないでしょうか。お寺というのはもともと「人が集まるところ」だから。

今はお寺の本堂が修復作業中。柱は漆で塗られています。ご住職が入寺して30年目ということで、お寺のために何かしたいという気持ちから実施されたそうです。

荒れた山寺から今では大人気の尼寺に・・・。ご住職も30年前には、まさかこんなことは想像できなかったに違いありません。これからも明るい笑顔を見せていただきたいものです。

気がついたら、まっちゃんの髪がのびていたり、3人の新しい人形が加わっていたりと、何気に変化が見られます。来月はどうかな?

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