日本庭園の魅力~心が落ち着く理由

今日は日本庭園のお話です。最近流行りの「ガーデニング」と違い、ちょっと敷居が高く思われがちです。しかし日本庭園の魅力を探ってみると、どんどん引き込まれること間違いなし。どうぞお付き合いください。

日本庭園の特徴

日本庭園は主に3つの重要な要素から構成されています。石・水・木です。石は人のからだ、水は血、木は骨にたとえられます。

日本庭園の主な様式

日本庭園には大きく分けて次の3つの様式があります。築山(つきやま)・枯山水・茶庭です。

築山

築山とは、土砂を盛って作った人工の山のこと。築山庭園は山・川や池・石・木などで造られています。日本三名園は築山様式の代表的な例です。

*日本三名園:兼六園(金沢)、偕楽園(水戸)、後楽園(岡山)

兼六園

枯山水

枯山水様式は水を使わず、砂と石で自然風景を表現した庭園です。室町時代に伝わったもので禅の影響が大きく、禅寺に見られる庭園様式です。

この庭には実際に水はありませんが、水は流れています。砂や小石の上を熊手で跡をつけることで、水の流れを表現しているからです。

代表的な枯山水庭園は京都の龍安寺大仙院です。

龍安寺

茶庭

茶庭は茶室に隣接して作られる庭園です。茶室同様、極力派手さを避け、簡素さを重んじて造られています。

茶会に招かれたお客は、茶庭を通って茶室にたどり着くようになっているのです。道中には緩やかに蛇行する飛び石、石灯籠、止め石、つくばい(茶室に入る前に手を洗い、口をそそぐため)などがあります。

日本庭園と洋風ガーデンとの違い

派手な花がほとんど咲いていない日本庭園。鮮やかな花が咲き誇る洋風ガーデン。両者の間には大きな違いがあります。庭の目的が違うのです。

「ガーデニング」ということばからも、洋風ガーデンはgardenの中で「何かをする」ことが目的なのです。花や野菜を育てたり、時にはバスケットボールをしたり、バーベキューをして楽しみます。庭いじりや植物を育てることそのものを楽しむ傾向にあります。

一方、日本庭園は庭を「見る・鑑賞する」ことが目的です。庭で子供たちが走り回ることを想定して造られることは、まずありません。竜安寺の石庭で、子供が遊んでいる姿はちょっと想像できませんよね。

だからといって日本庭園は人とかけ離れた庭というわけではあません。人が庭の中に入り込むことなく、まるで外から絵を見るように眺めて楽しむのです。ボール遊びをしたかったら公園へ行けば良いわけです。

なぜ石があるのか?

日本庭園の重要な要素である石。なぜ石を庭に置くのでしょうか。いくら人のからだを意味するものだとしても、あんな重い石を庭に配置するのは大仕事です。素人ではできません。女性の多くが、ガーデニングにいってしまうのも無理はありません。

しかし石がない日本庭園を想像すると、何か気が抜けたような庭になりませんか?自然の一部である石を配置することで、小さな自然の風景を創り出すのが日本庭園なのです。

龍安寺の石庭には15の石があります。どれひとつ同じ石はありません。一見無造作に配置されているように見えますが、トリック?があります。

どの位置から見ても、必ずどれかひとつの石が隠れて見えないのです。15の石が一度にすべて見えることがありません。作者も不明ですし、実に不思議な庭です。

いびつさが魅力

日本庭園の大きな魅力のひとつに「いびつさ」があります。アルハンブラなどヨーロッパの庭園のような、図で描いたような整然とした庭園とは全く違います。石の配置ひとつとっても、そこには規則性はなく「いびつさ」があります。

「いびつさ」があるからこそ、私たちの心が休まるのです。正直ヨーロッパの幾何学的な庭園を見ても、心を落ち着かせることはできないような気がします。日本庭園には「いびつさ」が持つマジックがあるのです。

ずいぶん前ですが、京都の智積院を二度訪れたことがあります。ともに人出の少ない冬でした。お目当ては「利休好み」といわれる名勝庭園。

一度目は夕方閉門近くでしたから、拝観者は私ひとり。入り口を入ると若いお坊さんが「こんにちは」と声をかけてくださったのを覚えています。大書院から眺める静かな庭園に、すっかり魅了されてしまった私でした。

二度目は午前中に訪問。オフシーズンの静けさの中、「いびつさ」だらけの名園をじっくりと堪能。何時間眺めていても飽きない空気がそこには流れていました。心が休まったのはいうまでもありません。

最近の京都は一年中人出が多いようです。美しいものを見たいのは誰もが同じ。日本庭園では「みんなで静かに鑑賞」が合言葉ですね。

わが家のしょぼい日本庭園 何気にいびつさが~

最後に

日本庭園のある家が減っている今日この頃。それでも多くの人たちが日本庭園を見て感動しているのも事実です。

島根県にある足立美術館は米国の日本庭園専門雑誌「The Journal of Japanese Gardening」で15年連続で1位に選ばれています。

私も2年前に足立美術館を訪れました。かなり奥まったところにあるという印象の美術館ですが、素晴らしい日本庭園がありました。茶室で抹茶もいただきました。もちろん茶庭もありましたよ。

何といっても一枚の大きなガラスから素晴らしい日本庭園を眺めることができるのが感動的です。四季折々別の顔を見せてくれる美しい日本庭園です。手入れをしている庭師さんたちも誇らしいことでしょう。

このように日本庭園は、日本だけではなく海外でも高い評価を受けています。日本庭園は私たちの宝です。
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