英語がうまく読めないと嘆く前に~音読20回やってみたら?

今日は大人の生徒さんの英語レッスンでした。彼女は学生時代に声を出して英語を学習しなかった影響で、全く口が動きません。そこで今日は中三の教科書の1ページを20回音読してもらうことに決定。

ある意味これは「実験」です。1回目と20回目の間に変化が見られるかどうか、興味津々でスタート。彼女のような重症患者?の場合、一桁台の回数を音読したとしてもあまり変化はないと思ったので20回にしてみました。

前半戦

1回目:本人に読んでもらう→ほとんど口が動かず四苦八苦。

2回目:私がセンテンスを読んだ後にリピートしてもらう。→苦しそう。でも一人で読むよりは良い。

3回目&4回目:本人だけで音読。

5回目:私の後に続いてシャドーイング。難しいと思いきや、これが結構いける。よく追いかけてきた。

6回目~10回目:本人だけで練習。思い込みで読んでいることが多い。日本語英語の悪影響が見られるが、一回目よりは少しはマシ。

彼女は喉がカラカラな様子。この辺で水分補給ということで温かいほうじ茶を出しました。日頃から水分を多めにとる彼女なので、ほうじ茶にほっとしたようです。ちょうどマラソンの中間地点で水分補給するようなものでしょうか。

後半戦

11回目:最初に私が通しで一度読んでみる。続いて11回目を音読した彼女。いくらかノリが良くなったような。

12回目~15回目:本人だけで音読

16回目:またシャドーイング練習

17回目~20回目:本人だけで音読。終了!彼女のエネルギー放出感が伝わってきた。

20回終えるまで45分程かかりました。ほうじ茶のお代わりを差し出すと、一挙にそれを飲み干した彼女。よく頑張ったと思います。

音読がすべてではないけれど

何せ彼女は中学校のときから音読なんてろくにしてこなかったのですから、その付けが回ってきたわけです。まあ、音読だけがすべてではないけれど。

声を出して練習するというのは、慣れないうちはかなり疲れるはずです。必要以上に肩に力が入り緊張しますし、何といっても口の筋肉が動きません。おまけにローマ字読みやらカタカナ英語の悪影響もあり、かなり苦戦をしていました。

それでも彼女のまじめな性格のお陰で、文句ひとつ言わずに最後までやりました。さすが大人です。

これがやる気のない中学生あたりだと、数回やっただけで嫌な顔をしますからね。ならば自分で文を組み立てることができるように練習するかというとそれもしない。

よほどの語学オタクでもない限り、同じ文をひたすら繰り返して読むなんて退屈なだけかもしれませんね。

それに音読をやったからってテストで100点取れる保証はありません。ただし少なくとも教科書の音読は、定期テスト対策としてはある程度効果があるはずです。

外国語学習はスポーツと似ている

外国語の習得はスポーツのようなものです。最初にルール(文法)を理解したら、あとは発音や文の組み立て方を練習するのみ。

もちろん語彙を増やす努力は不可欠ですし、耳も鍛えなければなりません。汗をかかずに目標地にはたどりつけないってこと。

聞く・話す・読む・書くというすべてにおいて、バランスよく練習できるのが理想だとは思います。

日本にいてある程度のレベル・・・この「ある程度のレベル」ってのが、ひとによって違うのでしょうけれど・・・に達するためには工夫と持続性が必要です。

よく「英語がペラペラになりたい」という人がいますが、私には良くわかりません。ペラペラって?たわいのないことでも早口で「ペラペラ」としゃべればいいのかな?それなら子供のおしゃべりレベルでもいいのだろうか。

日常生活で何とかコミュニケーションがはかれ、新聞などもだいたいは理解できるレベルに達するためには、発音や音読だけでは不十分です。

しかし大学受験を控えた高校生の英語学習のお付き合いが多いこの頃。久しぶりに音読レッスンをした後は、何だか心地よい疲れを感じました。音読練習はやっぱりスポーツのようなもの。

さいごに

今回は口の筋肉を英語に慣らすために、「実験」で20回の音読をしてもらいましたが、初期以外は音読だけに時間を費やしない方がいいでしょう。他に大事なことがありますから。

肝心なのは、自分で言葉を組み立てて文を作り、相手に意思を伝えることができるようになることです。

音読をやらされた生徒さんは、さぞかし疲れたはず。でも彼女の音読1回目と20回目では、彼女が読む英語の流れに明らかな違いがありました。これを進歩といいます。

彼女は口がかなり疲れたようで、家に帰ったら無口になっているかも知れません。お疲れさまでした!