昨夜9時半過ぎのことです。固定電話が鳴りました。
何やら見慣れぬ電話番号が表示されています。市議会選挙の運動か、あるいは何かの勧誘かと慎重に受話器を取りました。
すると受話器の向こうから聞き覚えのある声が・・・。フランスのアルザス地方に住む友人でした。
国際電話なんて最近はすっかりご無沙汰でしたから本当に予期せぬことでした。もちろん大歓迎ですが。
実は同じ日に私の方から「お~いフランスの田舎、どうしてる~?」なんて軽~いメールを送ったばかり。欧州のニュースを見る度に、彼女がどうしているか気にかかっていました。深刻な状況だから、敢えて軽いメッセージにしておいたのですが。
でもまさか彼女が電話をかけて来るとは思っていませんでした。特別な用事があったわけではないので、国際電話をしてくるなんてびっくり。お互いSkypeはおろかスマホでの連絡もしないのに。
おそらく日本への里帰りの予定が大幅に狂い、今後のめども立たないために、とりあえず生の声を聞かせてくれたのかも知れない。
予定であれば、彼女はこの3月中頃に里帰りし、寝たきりのお母さんのこれからの介護について家族やケアマネージャーさんと話し合うことになっていました。
長女である彼女。母上のことを妹さんや老いた父上に任せっきりにしたくはなかったようです。去年は二か月に一度は日本に帰っていましたしね。さすがに遠距離も遠距離ですから、身体的にも辛くなっていたようです。
現在フランスでは厳しい外出制限が行われています。彼女によると、買い物などで出かけるときには「特例外出証明書」を提出する必要があるとか。
証明書のフォームは政府のウェブサイトからダウンロードできるのだそうです。外に出れば警察官がパトロールしていますから、証明書を持たずむやみに外出することはできません。
もし違反した場合は€135(約16000円)の罰金を支払わなければなりません。15日以内の再犯は€1500(18万円)、一か月に数回違反すると€3700(約45万円)+6か月の禁固刑が課せられます。
個性派?の多いフランスでは、全国民を大人しくさせるためにはそこまでする必要があるのかも知れないですね。
あ~それに比べて日本はゆるゆる。かえって不安になる。もう個人個人が自己に厳しくするしかないのかな。手を洗っておとなしく家に籠ります。
外出自粛とか禁止などと言われると、いつもそんなに出歩かず、どちらかといえば引き籠りのような私でも、「ちょっと待って」となります。
自分都合で家にいるのと、政府から「出るな」といわれて家にいるのとでは、同じ「出ない」でも違うんです。
籠っているという状態は同じだけれど、「出ようと思えばいつでも出られる」状態と、「出てはならぬ」という状態では、やはり後者の方が精神的に窮屈なもの。
まあ意識しなければ、私の場合いつもとさほど変わらない暮しなんだけれども、ちょっと気分が違うよね。
とにかくそんな厳しい状況下にいるフランスのアルザス地方の友人。いつもなら国際電話をしてくることはないのだけれど、私と日本語で話すことで、少しのフラストレーションを放出させようとしたのかも知れません。そうできたのなら良いんだけれど。
今は世界中でみんな精神的にも窮屈な思いをしているはず。こんな時は現状をみんなで分かち合い、新型肺炎の少しでも早い終息を願うことにしたいものです。