今年も藤の花が咲きました。わが家の樹齢不詳の藤の木。少なくとも軽く100年は経っているはず。というのは95才の父が生まれる前から、わが家の庭に咲いていたからです。
桜のようにあちらこちらにあるわけではないけれど、桜が散った後に咲き始める藤の花には、どこか落ち着いた品の良さを感じます。そして何とも言えないほのかな香りも~。
目次
藤という植物
藤は日本原産で、マメ科フジ属の落葉性つる植物です。開花は4月~6月ですが、種類や地域によって異なります。
藤の代表的な色といえばうす紫、いわゆる藤色です。その他に白やピンク、黄色もあります。
つるは左巻きと右巻き
左巻きのつるはヤマフジ(花穂が短い)、右巻きのつるがノダフジ(花穂が長い)です。
つるが右巻きで花穂が長いことから、わが家の藤はノダフジだと判明しました。
毎年見ていても、父をはじめ周りの誰もが「ノダフジ」だなんて知らないだろうな~。名前なんて知ろうという気もなさそうだから。でも今度教えてあげます。
栽培のポイント
・根は切らずに植えること
根を切ると新たに根を伸ばすだけになり、花芽が付かないからです。根は大切に!
・夏に伸びたつるをむやみに切らないこと
夏になるとつるがどんどん伸びます。邪魔なのでつい切りたくなりますが、我慢です!
伸びたつるの元の方に花芽ができるため、むやみに切ると花芽が付かなくなります。葉がついている間はつるを自由に伸ばしてあげるのがポイントです。
つるの剪定は、晩秋から冬にかけて葉が落ちてから行います。
ベランダ栽培もOK
つる性の藤は棚で育てるのが一般的ですが、鉢植えでも栽培できます。ただし根詰まりには注意が必要で、二年に一回程度の植え替えをします。育て方によっては藤の盆栽としても楽しむことができます。
藤のある暮らし
日本原産ということもあり、万葉集にも藤の歌が多く残されています。また当時、フジが藤原氏の家紋だったので、平城京がおかれた奈良には、たくさんの藤が植えられていました。
藤にはどこか品格を感じるのは、そんな歴史からでしょうか。
桜との違い
みんな桜満開のときには飲めや歌えの大宴会なんかをやって、思い切り楽しみます。しかし藤の花の下で歌って踊っての宴会なんて聞いたことがありません。そこのところが同じ「花見」でも藤の花と桜の花との違いではないでしょうか。
もっとも桜と違って藤の木は、あちらこちらに植えられてはいません。本数のうえでも桜には全く及ばす、誰もが「宴会」ができるほど身近ではないのかも知れませんね。
花見といえば、やはり桜の花が真っ先に頭に浮かびます。そして藤の花はどちらかというと「藤見」といわれることが多いように思います。少しだけ離れたところから藤の花を「愛でる」という感じかなのかな。
藤は手がかからない
つる性の藤ですが、わりと手がかかりません。
というのは桜の場合、花が散り葉桜のころになると、アメシロなどが発生することが多いのです。
「あ~きれいに咲いたね。一杯やろうか~!」なんて言っているときには想像できないでしょう。しかし花見気分を引きづって油断していると、アメシロがびっしりつきます。
毎年わが家のすぐ近くにある公園では、桜の木の消毒が行われます。それを見てわが家の八重桜の木をチェックすると、やはりアメシロが発生しており、慌てて消毒にかかるという具合です。嫌いな作業です💦。
ところが藤にはそういった心配はいりません。今まで藤の消毒をしたことは一度もありません。とても助かります。
もちろんあしかがフラワーパークのような見事な藤は、プロによって丁寧に管理がなされているはずです。
しかしわが家のような一般家庭の庭に育つ藤の木は、剪定と豆取りを除き、後は放りっぱなしです。少なくともわが家ではそんな感じで長年育てて、というより「育って」もらいました(笑)。
藤棚が守ってくれたもの
いつもは庭の真ん中に居座っているだけのわが家の藤棚。これが思わぬ時に役に立ってくれたことがありました。
1964年に新潟地震が発生。子供だった私は小学校にいましたが、池の水が大きく揺れていたのを今でも覚えています。
その時家にいたのが祖母と母親でした。二人が大きな揺れを感じたとたんに走って行ったのが庭の藤棚の下でした。藤棚にしっかりつかまっていたそうです。藤棚がわが家では、心と命のより所だったのがわかります。
たまたまわが家の土地と藤の苗の相性が良かったのでしょう。それくらいしか考えられません。近所では「有名な」藤として君臨?してきたのでした。幹もかなり古くなり、父いわく「俺が逝くのが先か、藤が逝くのが先か」といったところです。確かに~。
藤の香り
藤にも香りがあります。それもすごく良い香りが~。
決して出しゃばらず、爽やかで甘いとでも言いますか、優しく包み込むような柔らかい香りです。
香りを言葉で表現するのはすごく難しいので、直接嗅いでみるのが一番です。でも実際に藤の花の香りが嗅げなくても、香水があります。店頭のテスターで嗅いでみてはいかがでしょうか。
私は子供のころ、藤に香りがあることに気づきませんでした。大人になって初めて「藤ってこんなに良い香りがするんだ」と実感したのです。嗅いでいるだけで心が穏やかになります。
まとめ
毎年忘れずに花を咲かせ、優しい香りを放つ藤の木。わが家の歴史と共に生きてきた老木です。私たちも知らず知らずのうちに、藤を家族の一員のように思ってきました。
今年もしばし藤の香りに包まれて、一時の夢の世界へと小旅行です。